校長先生からのメッセージ(6月)

 新型コロナウイルス感染症対策として、長期にわたりご家庭でご支援、ご協力をいただき、御礼申しあげます。緊急事態宣言が解除されましたが、学校再開については先日お知らせいたしましたとおり、児童の安全を考慮して2週間は様子を見させていただくことにいたしました。

 今回のコロナウイルスの感染拡大防止対応で、明らかに社会の生活環境は変化しました。働き方においても、テレワークが進み、学校でもオンライン授業が行われています。感染対策のためにさまざまな工夫がなされ、世界がコロナウイルス収束に向けて取り組みをしています。大変な状況が続いていますが、歴史上で大きな出来事として残ることですので、渦中にいる子どもたちが、ただ単に「コロナウイルスのことで学校が休校だった」というだけでなく、今の状況や防止対策の取り組みの中から、ひとつでも多くのことを学んでもらえたらと思います。

 昨年12月、15歳の学力を図る国際学力調査の結果が公表されました。
このテストはPISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査です。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について実施するもので、15歳の子どもが知識や技能を実生活で直面する課題でどの程度活用できるかを図るためのものです。今回は世界79か国の60万人が参加しました。日本の子どもは科学と数学はトップレベルを維持しましたが、読解力は前回の8位からさらに下がって15位になりました。順位を落としている理由は次の3つではないかということでした。
(研究者によって意見の相違があるようですが)

①先進国のテストは、どんどんコンピュータ化しているが、日本の子どもは、いつも紙ベースのテストをしているためこのテストに慣れていない。
②物事を批判的に見る力が弱い。
③なぜ他の人がそのような間違えをしたか推論する力が養われていない。

 読解力というと、国語のテストの文章問題をイメージしますが、PISAのテストは、ある文章を読んで、読んだものをどれだけ活用できるかという力を図るものです。

 国境を越えて働き始めている現代において、世界のどこに行っても通用する力が必要とされます。世の中には一つの事実を見てもいろいろな考え方があり、さまざまな意見を言う人がいます。その意見がなぜ出てくるのか、根拠となる事実、自分の主張とその説明が求められるというのです。

 今後ますます、相手に自分の考えをきちんと伝えるコミュニケーション能力が必要となっていきます。今回のコロナウイルスの感染対応で学校での学びのツールも広がりました。そのようなツールも生かし、学校のさまざまな教育活動を通して、子どもたちがこれからの社会を生き抜く力を養っていきたいと思います。

 もうしばらく家庭学習が続きますが、どうぞよろしくお願いいたします。

<学校通信 2020年度 第3号>

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