今回のコロナウイルス感染拡大という未曾有の出来事の中、学校としてもさまざまな対応をしているところですが、そのような中で今学期を終えることができますこと、これも保護者の皆様のご理解と多大なご協力があってのことでした。本当にありがとうございました。
子どもたちも、4月から2ヶ月半という休校があり、その後の変則的な学校生活で戸惑うこともあったと思いますが、みんなよく頑張りました。休校中のオンライン授業もストレスの中で受けた子どももいたことと思います。教職員も画面上で見る表情や仕草では、何を考えているのか、理解しているのかはきちんと把握できません。顔と顔を合わせて、直接言葉を交わし、コミュニケーションをとることがいかに重要なことであるかを、今回のことで改めて感じました。そしてコロナ禍で以前と同じように、コミュニケーションができないもどかしさを感じますが、これを機に、今までとは違った学習のあり方を考えていく必要を感じています。
さて、当初の予定より終業日が延びて短い夏休みとなりますが、子どもたちには有意義な夏休みを送ってほしいと願っています。日本全体がいつもとは違う夏になると思いますが、その中でも成長できることに取り組んでほしいと思います。
今年の3月、読売新聞に「国語力が危ない」という特集記事が3回にわたって掲載されました。その中で強調されていたのは語彙力の大切さでした。現代の若者が使う「エモい」という言葉を例に挙げていました。大辞林にも収録されている言葉で「(主に若者言葉で)心に響く。感動的である」という意味です。記事の中で、ある就職活動会社の方が、若者がこの「エモい」をさまざまな感情表現として使うことを心配していると言っておられました。なんでも「エモい」で片付けられると、何を言いたいのかわからず困る場面がでてくるというのです。さらに語彙力の大切さについて(「東大読書」東洋経済新報社)の著者である西岡さんのことが紹介されていました。
(以下、読売新聞2020年3月28日朝刊記事より)
「高校2年生の時の全国模試の偏差値が35だった西岡さんによると、日本語を知らないと英単語が覚えられない。示唆の意味が分からず、『suggest』が頭に入ってこないという具合だ。他教科でも問題文が理解できずに答えを導き出せないことが多い。『語彙力がすべてのベースになっている』と気づいた西岡さんは多くの本を読んで語彙を増やすなどして、2浪の末に東大合格を果たした。~中略~ 東大に入り、友人たちの語彙の豊富さに驚いた。LINEのやりとりも、「了解」と「諒解」を区別して返信がくる。『終わりの意味を持つ【了】は話の最後に使われ、途中ではあえて【諒】を使う。状況に応じて言葉を選んでいる』と西岡さんは話す。」
そして、記事では語彙力を増やす手段として、小さな時に本と親しむ経験の大切さが書かれていました。夏休み、一冊でも多く読書に親しむ時間を持ち、物事を深く考え、相手に自分の気持ちをきちんと伝えられる、語彙力を増やしてほしいと思います。
子どもたちが安全で健康に夏休みを過ごし、二学期に元気で登校してくることを教職員一同願っております。
ご家庭の上に神様の祝福が豊かにありますようお祈りさせていただきます。
<学校通信 2020年度 第5号>