『大人の後ろ姿』
コロナの感染が落ち着いている様子が毎日報道されています。しかし、一気にすべてが解除されたり元の活動に戻したりというわけにはいきませんし、これまでの感染対策(手洗い、消毒、マスク、換気、密を避ける)は続けられていきます。
学校では、昨年から色々な行事やイベントを中止または変更してきましたが、現在の感染状況が落ち着いている時期に、校外学習や体験学習、見学など、感染対策を講じながら慎重に取り組んでいます。コロナの感染はまだ収束(終息)宣言されたわけではありません。しかし、できる範囲で、子どもたちにとって今しかできない経験を工夫しながら進めたいと考えています。
子どもたちは、行事を通して成長したり、準備する教師や親の姿を見て(大人の背中を見て)学んだり育っていくことも学校教育において大切な一面です。学校での保護者の活動も限られています (学校として活動の縮小をお願いしています) が、時々、少人数であってもご奉仕してくださる保護者の姿に子どもたちは感謝と尊敬の念を抱いているのも確かです。
ある本に登場する母親が、神学の教師でありカウンセラーである牧師に「どのように子どもを訓練し、しつけたらいいでしょうか?」と尋ねました。
すると牧師は次のように答えました。「『あなた』という模範が子どもを教えるでしょう。つまり、あなたの友人との会話、従事している仕事の様子、あなたが示す好き嫌いが彼を育てるのです。・・・・そのような傾向が子どもを形づくり生涯のあり方へとつながるのです。」参考:ジョン・ドレッシャー著『子どもに信仰を伝える』
別の例です。
「○○しないと△△してあげない」というしつけばかりだと、子どももそのようになっていくかもしれません。親は子どもに勉強させたい、良い子でいてほしいと思って言っているつもりが、子どもは「△△してあげない」といった罰や脅しの方を身につけてしまうのです。時々、「○〇しないと、遊んであげない。〇〇してくれないから、遊ばない。」という会話が子どもから聞こえてきます。
また、忘れ物をして本人が困ったらきっと忘れ物が直るだろうと放っておかれた子どもは、忘れ物を直すことより「自業自得型」の考え方で人を見、更には他人のせいにする考え方に至る可能性もあるのです。「親(大人)の言うことは聞かなくても、することは真似る」ということのようです。参考:「サインズ・オブ・ザ・タイムス」2016年11月号より
子ども時代に持った美しい記憶が将来の大きな力となることでしょう。先日1,2年生が芋ほり体験をしました。その姿を見ていて、私自身が子供時代に経験した赤紫の物体を地中から見つけ出した感動や、土を掻きわけ芋を掘り出すのに夢中になった思い出がよみがえりました。
あの時感動した、励まされた、勇気づけられた、憧れた、真似したいと思った・・・・、子どもの記憶が、輝かしい新しい夢へあるいは次のステージへと繋げられるために、私たち大人はよき助言者として模範者として寄り添う存在でありたいものです。
「母親がわが子を忘れ、愛さなくなることがあるだろうか。たとえそんなことがあっても、わたしはあなたを忘れない。」(リビングバイブル イザヤ書49章15節)
ご家庭の上に神様からの祝福が豊かにありますようお祈り致します。 校長 小原義信